令和6(2024)年度報酬改定 処遇改善加算が一本化?

処遇改善加算に関する論点

 令和6(2024)年度の報酬改定に向けて、処遇改善加算等に関する議論がスタートしています。
 厚生労働省は令和5年11月30日の社会保障審議会介護給付費分科会に、処遇改善加算関連を一本化して創設する新加算の名称を「介護職員等処遇改善加算」(以下「新加算」という。)とし、(Ⅰ)~(Ⅳ)の4段階の加算区分を設ける案を提示しました。
 なお、この処遇改善加算の一本化等は、介護保険と同様に「障害福祉サービス」分野においても変更が検討されています。
 また政府は11月10日、令和5年度補正予算を閣議決定する中で、補助金により介護職員等の収入を2%引き上げるための措置を令和6年2月に導入し、賃上げ維持もしくは拡大を目指すため、政府・与党内で調整が進んでいます。

処遇改善加算一本化で何が変わるのか?

処遇改善に関する加算は現在3つ存在しますが、令和6(2024)年度の報酬改定で一本化されることになります。一本化に向けて以下のような対応案が示されており、今後詳細が検討されます。

職種間賃金配分ルールの統一

3加算の職種間配分ルールを「福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事務所内で柔軟な配分を認める」に統一する。

ベースアップ等要件について

ベースアップなどに充てる割合を見直しつつ、一本化後の新加算全体に適用する。

職場環境等要件の見直し

・取り組むべき項目数を増やす/・現行の特定処遇改善加算の「見える化要件」について、職場環境等要件の各項目ごとの具体的な取り組み内容の公表を求める旨を明確化/・年次有給休暇取得促進の取組内容を具体化(上司等からの声かけ・業務の属人化の解消等)/・職場環境等要件のうち、生産性向上及び経営の共同化に係る項目を拡充

なお、現行の加算を取得している事業所がスムーズに新加算を取得できるように配慮すること、そのため、賃金改善方法の変更等が必要な事業所のため、一定の経過措置期間を設けることが検討されています。

厚生労働省 社会維持審議会 介護給付費分科会(第233回)介護人材の処遇改善等(改定の方向性) 令和5年11月30日」より

障害福祉サービスにおいては対象サービスも拡大か

現在は処遇改善加算等の対象外である以下のサービスが対象に追加される方向で検討されています。
 ・就労定着支援
 ・自立生活援助
 ・就労選択支援
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 こども家庭庁 支援局 障害児支援課 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第43回(R5.11.29)「障害福祉分野の処遇改善について≪論点等≫」より

まとめ

処遇改善加算に関する改定は、令和6(2024)年度報酬改定の非常に大きなトピックです。改定内容によっては就業規則や賃金規程等の変更が必要になる可能性もあります。厚生労働省からの最新情報の確認をお勧めします。